Michiyo’s 『道』 BLOG!

こんにちは。慶児道代です。私のブログへようこそ!

教会の鐘の音

もう一つ 倉敷少年少女合唱団のお話。

高校1年の春休み  倉敷少年少女合唱団が 初めての海外演奏旅行に出ました。

行き先は ヨーロッパ。9日間の旅でした。

アンカレッジで給油後、ヒースロー空港で乗り換えて、パリ着。パリ、ウィーン、倉敷市姉妹都市サンクトペルテン、ザルツブルクインスブルック、そこから 列車でアルプスを越え スイスのルッツェルンから 帰国という行程でした。

私の家は 本当は この旅行に出して貰える様な余裕など なかったのですが、両親に必死で頼み込んで… 私も色々我慢すると約束して… 参加の許可を貰えました。
皆んなと一緒にヨーロッパに歌いに行ける!! 嬉しかったです。

皆が 色とりどりのスーツケースを転がす中、私は祖父の昭和初期のグレーの紙製トランクを手に持って…。 舞台の小道具の様な非常にレトロな物でした。恥ずかしかったですが、大好きだった祖父が護ってくれるように感じていました。

ヨーロッパ行きの前は、通例の土曜日の練習に加え 日曜 祝日や平日にも練習が入って、本当に歌漬けの日々!皆んなとの絆がドンドン深まるのも感じて...、天国でした。


現地での体験の記憶は、書き出したら一冊本が書けそうなほどです。
パンの硬さ 香り、 バターの味、日本の洋食とは違う食感のホントの洋食、 空気の軽さ 匂い...、 ショーウインドーの素敵な事、 人と音楽の距離感が日本と違う事、 仲間や先生との貴重な体験、 外にでて初めて見えた日本......... 色々...色々...。

わぁ~っ!と何かに感激すると、すぐ皆で歌い出していました。
団長の 鈴鹿 正 先生は、それをとても喜ばれて...、そのままそこでミニ・コンサートをさせてくだいさいました。
ピアノの先生方は大変だったと思いますが、観光に出ている間も楽譜とキーボードを持って歩かれて、歌い出すとそのままコンサート!人だかりができて、最後には皆さんと一緒に手をつないで歌ったり...。
特に、列車でアルプスの山を越えた車中、ザルツカンマーグートを巡った時は、歌が止まらず、伴奏の先生が「ちょっと休ませて...!」と悲鳴を上げられるほどでした。

多感なこの時期に、皆と一緒にこの旅行に行けた事は、私の一生の財産です。



この旅行で私の中に衝撃として残っているのが、教会の鐘の音です。

映画などで、聴いた事がある あの教会の鐘を 早朝のウィーンで聴きました。

生で その場の空気の振動を通して聴く、その華やかさと影と、高低全ての倍音が響いて 思考をかき回されている様なのに 不思議な安心感と心地良さ...。

日本のお腹の底、魂の深みに浸透する お寺の鐘とは全く違う音色でした。

私は窓のそばに立ちすくみ その鐘の音に聴き入りました。

「これを ここの住人は 日常の音として聴いているのか...。」

そして 思い出したのが、その2日前 パリのノートルダム寺院に入った時に感じた、頭の天辺がスゥ~ッと上に昇って行く様な音響空間でした。

単に天井が高い...という感覚を超えた どこで音が纏まるのか解らない感じの 不思議な音響空間でした。

『ヨーロッパの音』を意識した時でした。

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