入学して暫くは悶々としてました。
授業が始まり...そこに居る事に集中出来ないまま、私はそこにいました。
私の学年の声楽は15名(入学時)で、皆 個性豊かでありながらも 仲間意識が強く、ホントに仲が良くて... 幸せだったなと思います。
悶々としながらも、レッスンは興味深くて 毎回楽しみでした。
そのレッスンで...、初めの頃に先生から、
「お前さん、願書にメゾソプラノと書いてたけど、ソプラノだからね。どうかすると、コロコロ転がる方かもしれないから。」と言われ...
「!! ソプラノ?!」
ショックでした!
テレサ・ベルガンサに憧れていた私は、彼女の様なメゾになりたかったんです。
一晩眠れぬまま...翌日、先生の部屋を訪れ...、
「ちょっとお話があるんですけど…、よろしいでしょうか?」
「なんだ?入れよ。」
「昨日 先生は、私がソプラノだと仰いましたよね。私は、メゾソプラノになりたいんです。先生は、素晴らしい先生だと聞いています。必ず 私をメゾソプラノにして下さる事が出来ると信じてます。お願いできませんか?」
「ハッハッハ!!残念ながら、出来ないなぁ...。お前さんと言う楽器はね、生まれた時にある程度決まっててね。お前さんは、ソプラノなんだよ。それは、僕にも、お前さんにも、どうにもできない事なんだな。」
生まれた時に決まってる?!...
キャンキャン高い音出すソプラノなの?私...。え~~~~!!!!
この先生が、私の恩師 近藤安个先生です。
先生との出会いで、私は最初から自分の道を歩み始める事が出来ました。
私の個性、音楽性...そういう物をとにかく大切に扱い、引き出して下さいました。
近藤先生が率いた 中国短期大学フラウエンコールについては、知る人ぞ知る合唱団体かと思います。
クラスの先輩が、一生懸命勧誘して下さいましたが、私は最初 頑として入団を拒否していました。
見学だけでも...と言われ、遂に根負けして 覗きに行った時に...。
「え?何コレ、凄い!」
ナントも繊細でありながら、言葉が喋っている様にハッキリ聞こえて来て、しかし、流れがシッカリとあって、パートの整い方が素晴らしくて、3人で歌ってるかの様...
「女声合唱...ってこうなの?」今まで 聴いた事がないものでした。
暫く悩みましたけれど、あの ソプラノ vs メゾソプラノ のやり取り以来 先生の考え方に興味津々になっていた事もあって、先生が指導してるから入るか...と。
いざ入ると、部長やったり、学生指揮者やったり...。(笑)
泣いたり、笑ったり、悩んで、揉めて、纏まって…とにかく色んな事に、傍観者ではなく、し~っかりと関わりまくっていました。(笑)
その関わりの中で、 人間としても、音楽家としても... 色々鍛えてもらいました。
地元、中国二期会のオペラ公演にも合唱で出て… カルメンのタバコ工女とか...燃えましたね!(笑)
そういう経験が、私にまた次のステージを見せてくれ、惹かれるままに進んで行く事になるのです。
ジプシー男爵(ザッフィ)