Michiyo’s 『道』 BLOG!

こんにちは。慶児道代です。私のブログへようこそ!

成長…を見せて貰える 喜び。

今日は 何かあると連絡をくれる 音楽院での教え子のレッスンでした。

今は 大学生ですが、時々 「レッスンして〜!」とやって来ます。

この子との出会いは、もう15年くらい前に遡ります。北チェコのTurnovという街で行われている 子供の為の音楽講習会が最初でした。

(この講習会に参加した子達が それぞれ 大学を卒業して 音楽家に成長しています。)

彼女は 2回 この講習会に参加して、その後 私のクラスを希望して 音楽院に入学してきました。

 

最初に講習会で会った時、丁度 変声期に差し掛かっていた彼女…、ガッサガサの声で、低い音をガリガリ押し歌いしてました。

 

家庭環境が 音楽に影響する良い例、悪い例、そのどちらをもこの子は抱えていました。我が家で 『自分』で居られなかった彼女に 『自分』を取り戻す手助けをしたのが 『歌』でした。

 

最初の2年は 大変でした。

明らかに キラキラ光るソプラノ、人々に喜びを届けられるだけの人格がある…

しかし…、彼女は自分の中にある才能に 決して光を当てさせてくれませんでした。

私から見ると『闇』の方向にばかり行こうとする… そこに居て褒められた経験があったからなのですが…

2年目に入ると 渡した曲をことごとく 拒否する様になって、試験の評価は 担当教員の私自身が積極的に 低評価せざるを得ない状態になって…

(…大体 先生方は ご自分の生徒には 良い評価を与えたがるんですが…、私は 主観抜きで 公正に判断する事が 自分の役目と思っていたので…『愛の鞭』よ!と言いつつ 必要あると思えば 低評価を下していました。)

彼女自身 伸びていない事は良く分かっていたけれど 結構なショックだったそうです。

そして 私は 彼女に、このまま私の所にいては 意味がないから、 他の先生に移る事を勧めました。

 

彼女は それならば 音楽院を移りたいと、他の音楽院の先生とコンタクトを取って 何度かレッスンに行って、その先生探しの間も 私に良く連絡してきてました。新しい先生の決定に関与して欲しいという彼女の希望でした。

 

夏休み中に 何人か渡り歩いて、結局 私の所へ戻ると決めた彼女に、私は これからの一年は 私の了解する楽曲のみでのレッスンを条件に出し、まずは 避けまくっていた バロック、古典のソプラノ用の作品を4-5曲 自分で選んで持ってくる様に言いました。

 

腹をくくって 一生懸命探して…、私も知らない作品を何曲も持って来てくれて、二人で色々調べながら… レッスンが始まりました。

彼女は 自分の選んだ曲に思い入れが出てきて、そうなると アジリタもトリルもあっと言う間に自分のものにして、高音もバンバン決まる様になりました。

一月経つ頃、

「先生、私 かなり軽いソプラノだと思う。」

「だから〜〜!最初から言ってるじゃん!」

「私には、バロックと古典が合ってると思う。」

「だ〜か〜ら〜〜!!最初から言ってるじゃんよ〜〜! これらの作品を超えて 年齢と共に 貴女の声は もっと色んな色合いを見せていく様になるよ!今はね とにかく この時代の作品が 貴女にとって 必要だと 私は 思うのよ!解ってくれて ホント良かったわぁ〜!」

 

今日 レッスンの後 一緒に食事をして、あの時の話になり、

「あんな低評価をくれた先生は 後にも先にも 先生だけです。でも お陰で今がある。」

「良くまぁ 本当に ふてくされる事なく、ずーっと コンタクトを取り続けてくれて…、成長の様子を見せてくれて…、ありがとうね。」

「いつも 『これは私からの愛の証よ』って言われてたじゃないですか!その言葉を信じたんです。」

こっちも必死、この子も必死だったんだなぁ〜と、感慨深かったです。

 

今やしっかりと『自分』を取り戻して、大きな瞳で真っ直ぐに物事を見て そのままを受け止められる様に成長した彼女…。頼もしいなぁ…。

 

沢山の人生経験が 彼女の歌を深い物にし 聴く人の心に響いていく日は もうすぐそこに来てると感じました。

… 楽しみです!

 

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月の明るい夜です。

最低気温は マイナスに突入!

もう 冬です。