Michiyo’s 『道』 BLOG!

こんにちは。慶児道代です。私のブログへようこそ!

思考の根...

話が あっち こっち しますが...

順番にお知らせした方が読みやすカナ…とは思うんですけど…、自分の中では既に終わっちゃってる事が多くて、順番通りに行こうとすると、探し物が多くて、思い出すままに書かせて頂いてます。

昨日の『苦労』と言う響きは好きじゃないんですけど、それとは別の感覚で チェコに順化していく過程で、色々悩む事、考える事はありました。

どう考えても、「私は 間違ってない!」と思えるのに、話が通じない!私独りで空回りと言う場面は多かったです。
当時は 周りに同じ立場(日本人歌手)がいない状況でしたから、相談するのは、チェコ人...、根本的な考え方が全く違うから、結局 余計に混乱が起きてしまう...。


劇場に入ると、朝 稽古があって、昼過ぎから 稽古かコレペティがあって、夜は稽古か公演 となります。毎日朝から晩まで...と言う事はないのですが、時に 朝から晩まで歌いどおし言う、声の為には非常に辛い日々が続くことがあります。
夜に公演がある人は、その日の稽古を軽減してあげる方向で日程を組むのが普通ですが、劇場の事情一切無視の客演演出家 や 指揮者がいると色々問題が起きます。

私が劇場に入って間がない頃(1990年代の後半です)、インフルエンザの時期に、練習が予定通りに行えず、歌手の一人と かなりワンマンな演出家との間で自己主張合戦になった事がありました。
二人の罵り合いを見ていられず、お互いの主張の間をとれば…と意見しましたが、他の皆に「黙れ!」と 目配せされて、私も黙り込んでしまいました。

? なぜ、自分の主張しかしないの ? 

? 歩み寄りと言う言葉はこの国にはないの ??

? なぜ、皆は ただ黙って見てるの ??? 

私には目の前に起きている状況が理解できず...、結局 話し合いは 未解決のまま炸裂 解散してしまいました。


皆が去った後の稽古場で、残っていた歌手に

チェコには、道徳と言う授業は無かったの? 今日の話し合いは、小学生以下だよ。歩み寄り一切しないし、皆、自分達の仕事の事なのに傍観してるし...。驚いた。」 と言うと...

「道代の言う通りだよ。確かに...小学生以下の話し合いだ...。その...『道徳』の授業ってどんなことをしたの?」

「…そうか…。日本から来た 道代には想像できないんだろうなぁ...。社会主義時代にね『道徳』何て授業をしたら、その先生は、思想家として政治犯扱いで職を失ってた。どうかすると拘束された。」

「教会には、教会ババァと呼ばれる、いつもお祈りに来ている 一見 信心深そうな秘密警察員がいて、信仰を持つ者を思想家として見張ってた時代だったんだよ。各家庭での教育が大切になるけど、その家族内にも秘密警察員がいるかも知れない...と言う時代だったんだ。」

「皆はね、長い物に巻かれてこの場をしのぐのが得策だ...と黙っていたんだよ。そうやって、僕らは社会主義時代を乗り越えて来てたんだけど…、チェコの未来を考えると気が重くなるよ。」


衝撃でした!


常識が通じないのは当たり前って事?......え~~!!

互いの罵り合いの中で「何が民主主義だ!社会主義時代の方が良かった!」と言う言葉が出て来て...???

????...! いやいや、何 言ってるの??? この問題は...政治とは全く関係無いよ...一体どうなってるんだこの人達の頭の中は...???

その後、劇場の宿舎に遊びに来られる、年配の元歌手さんの話とか、同僚の話とか...、社会主義時代の話...一杯聞かせて頂きました。あの頃、そういう話になると、皆 止めどなく喋り続けていました。
やっと、大ぴっらに話せる時代になった喜びだったのかも知れませんが、そういう話が 盛り上げれば 盛り上げるほど、その場の空気は 表現しようのない重苦しさに変わって行き、皆は盛り上がっているのに、私は、その場に居られなくなる事も よくありました。

これまで考えた事もない、政治体制が人間の思考に及ぼす影響...について考えました。
個々が個々として生きる事を許されない時代だったんだと、恐ろしかったです。

彼らの傷ついた心、抑えつけられた思いを聞きながら、自分が日本で生まれ育った事を本当にありがたく思いました。

 

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