Michiyo’s 『道』 BLOG!

こんにちは。慶児道代です。私のブログへようこそ!

声探し <Part 4>

ミリャコヴィチ先生はウィーンにお住まいでした。
当時、プラハから列車で5時間弱でした。

セルビア共和国の出身でいらっしゃった 先生は、私に、

「不思議ね…。貴女の歌には 私達と同じスラブの心がある。日本人の歌ではないわ。」

と 仰って下さいました。
チェコのドドドドドドドド!を表現したい 私にとって、最高の褒め言葉でした。
嬉しかったです。

歌手として、教師として、人間として...、先生は素晴らしい方でした。
今までの先生とは 全く違った関わり方で、私の内側にある物を引き出そうとして下さいました。

レッスンに行くと いつも先生のお宅に泊めて頂いてました。
各国からレッスンを受けに来る先生のお弟子さん達も 泊っていらっしゃいました。
皆さん、素晴らしい声と音楽性の持ち主、泊っている間に、お互いのレッスンを聴き合う事が出来たのは、非常にありがたい事でした。

私はここで、極端に自分に自信が無いと言う事をヒシヒシと感じました。
自分が受け入れられるとか、褒められると言う事は、何がどうひっくり返っても「無い!」と決めてかかっていた様で、先生が「素晴らしい」と言われても、信じてないから その言葉が受け取れない。お礼が言えない。

「いいえ、まだまだ...。」

「ミチ!『ありがとう』で良いの!!! なぜ、受け取れないの?!」

今、自分が教えるようになって、先生の思いが良く解ります。受け取れないと先へ行けない...成長しない...。自分で自分を責めて、自分で自分を壊しにかかっている私に、大きな愛をガンガン送り込んで、壊れた心を 修復しながら、指導をして下さいました。

レッスンは、とにかく、『声(響き)』そして自分の身体が『楽器』なんだと言う事を、簡易な人体解剖図を譜面台において、自分の感覚を育てるように教えて下さいました。

新しい役を貰い、コレペティで全幕譜読みを済ませると、先生の所へ行きます。
4~5日ほどの滞在中、レッスンを受けて、夜 布団の中で録音を聞いて、またレッスンを受けて...。

自分の身体なのに、コントロールできない!と言う事がホントに良く解ってきた頃、抜けられない悪い癖に捕まって…、何度やってもダメ。私も先生も意地になってました。

「ミチ!違う!!」と、小さな先生が 私の周りをピョンピョン飛んでいらっしゃいました。
「じゃぁ、こうやって考えてみて!」。。。。
「あ~!ミチ!そうじゃない!」。。。。
また、ピョンピョン。。。。

「お腹が空いたわ!今日は、ここで...ごめんなさいね。」と、先生...。

そして台所から...「キャー!ミーチー! 今、何時だと思う?私達凄いわ!!」
ナント、3時間を超えてました。

喉が何ともなかったのも 驚きでしたが、それよりもビックリしたのは、その後、
「ミーチー!TVで、シモン・ボッカネグラやるわ!一緒に見ましょう!」

私の頭の中は、もうグチャグチャで、人の声なんか聴きたくない!という状態でしたが、意地になってましたので、先生に食らいつくべく、一緒にTVの前に座りました。

先生が、「あ~今のよ!解った?」難しいフレーズで彼女がどうやって響きをキープしたのか、彼は倒れ込んだ体制で 何所を使ってこのフレーズを歌ってるのか... 逐一 私に解説して下さいました。

それでいて、チャンと内容に没頭されていて、「あぁ...辛いわよね。」「ここで、真実を知るのよ。」…「あぁ...皆、素晴らしいわね!」先生の目はキラキラ輝いてました。

.... 私は ボーゼン...『凄いよ...、この人...。』

そして、私の身体の感覚と、先生の身体の感覚が違う事に衝撃を受けてました。

『何にも 解って無いじゃん...。どうするよ、道代...。』


この情けない日が 切っ掛けになって、声(響き)と身体の感覚にのめり込みだしました。

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