6月30日(火)18:00~ (EU / 11:00~)
https://youtu.be/HcnWCO9b_-4 (無料配信)
このライブ配信で歌わせて頂く楽曲について少し書かせて頂きます。
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マルチヌー『ニッポナリ』
《 関根日出男 先生のプログラム・ノートと原詩研究より 》
小オーケストラ伴奏と女声のための7つの歌曲集
日本の和歌によるこの歌曲集は、矯正不能者としてプラハ音楽院を放校された失意のマルチヌーが、翌々1912年夏から秋にかけ作曲したもので、きっかけとなったのは、前の年に国民劇場で聴いたオペラ歌手テオ・ドリル=オリジに献呈されたが、初演はずっと遅れ、作曲者の死後1963年10月4日、クニプロヴァ―の歌、ピンカス指揮ブルノ・フィルのラジオ放送で行われた。(日本では、1994年12月14日、ぺツコヴァ―の歌、ビエロフラーヴェク指揮NHK交響楽団により初演されている)
20世紀になって日本の歌をテキストに日本の歌をテキストにストラヴィンスキー(1913年)はじめ、多くの作曲家が歌曲を作っているが、マルチヌーはそのはしりと言える。
【原詩研究】------------------------
『ニッポナリ』と言う詩集は、エンダーリングにより独訳されていた日本の和歌17首を、レシェテツキー(1877~1955)がさらにチェコ語に訳し。序文と注をつけ1909年にプラハで出版(400部)したものでゼイエルに捧げられている。
取り上げられている和歌は大和時代(山部赤人、大伴家持、大津皇子、額田王、吉備真備)、平安時代(在原業平、小野小町、藤原俊成)、鎌倉時代初期(静御前、藤原公経)の物であるが、一首だけ『新体詩鈔』で有名な井上哲次郎(1855~1944)のが混じっている。これらの和歌を当時のドイツに紹介したのが彼だったのだろう。『ニッポナリ』とは『日本也』と私は考えている。
重訳されているうえに当時のドイツやボヘミア訳者の日本の和歌への理解度は低かったろうから、原詩から相当外れた訳になっているため、オリジナルを確かめるには相当難儀した。2、5、7は間違いなく特定できた。ほぼこれではないかとおもわれるのは、1、4、6である。3については、全く手掛かりがつかめなかった。
1. Modrá hodina / 青い時(額田王=ぬかたのおうきみ)
2. Stáří / 老年(藤原公経=ふじわらのきんつね)
3. Vzpomínka / 思い出(吉備真備=きびのまきび)
4. Prosněný život / はかなき人生(小野小町=おののこまち)
5. Stopy ve sněhu / 雪の上の足跡(静御前=しずかごぜん)
6. Pohled nazpět / 見返り(小野小町) A Look Back
7. U posvátného jezera / 聖なる湖のほとりで(大津皇子=おおつのみこ)
歌詞対訳は、こちらをクリックして下さい。 ⇨ マルチヌー『ニッポナリ』対訳
※ 今回は、国際マルティヌー協会日本支部、ヤナーチェク友の会の皆さんに、色々と助けて頂きました。
本当にありがとうございました。