Michiyo’s 『道』 BLOG!

こんにちは。慶児道代です。私のブログへようこそ!

“IL CANTICO DI FRATE SOLE”

ウィーンの作曲家 Werner Schulzさんの 作品 “IL CANTICO DI FRATE SOLE” (アッシジ聖フランシスコの太陽の歌)を初演させて頂く光栄に預かりました。

オーストリア初演が 12/5、明日12/9は チェコ初演になります。

 

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http://musica-cameralis.euweb.cz/program_2019.html

 

2つの弦楽四重奏団とピアノ、コントラバス そして ソプラノという編成で、もちろん 指揮者無し。11名のアンサンブル。お互いの呼吸を感じながらのアンサンブルは好きなので、非常に楽しみにしてましたが、

最初頂いたパート譜では 一体どこから音程取るの?という感じで、果たしてチャンとお役目を果たせるのか?という感じ。変拍子、調性不明部分も多くて…

 

共演するのは、グラッフェ弦楽四重奏団ヤナーチェク弦楽四重奏団、ピアノのIgor Ardašev (イゴール・アルダシェフ)さん、コントラバスのMiloslav Jelínek (ミロスラフ・イェリーネク)さんという 錚々たるメンバー!

12/2にブルノに入り 初合わせ!翌日12/3に作曲家さんがブルノに来られて 通しを聴いていただき、12/4は最終の稽古!12/5皆んなでオーストリア入りして 夜 本番!!

 

最初は 数える事と 聴いてはいけない音に耳を傾けないように気をつけることに神経を集中させていましたが、リハーサルの時には 全体の雰囲気を感じることが出来るようになっていて、本番は 楽しむ事が出来ました!

 

テキストは 古代ギリシャの天への賛美の言葉で 12世紀頃のイタリア語で 書かれています。

大まかな内容は、

「大いなる全能の主よ、太陽、月、星、そして 風・水・火・土(母なる大地)、そして 我々人間の持つネガティブな部分、 病・苦悩、最後には 死をも 賛美し 謙虚に感謝を述べます…」

というもの。それぞれのエレメンツに沿って、10章から成り立つ 全曲通すと30分弱という作品です。

 

9章の死の部分では、おそらく死を告げる7つの鐘かな?と思う 苦悩の最たるものの様な 全ての楽器がぶつかり合う不協和音が鐘が鳴るように7回演奏されます。

そこに至るまでの間、あの世とこの世を彷徨っているような箇所があって、一つの弦楽四重奏が哀愁を感じるコラールの様なメロディーを奏で、もう一つの弦楽四重奏があの世が近づいているような音楽と言うよりも効果音的な音を立てている部分。。。そこで私は セリフを喋るのですが、本番で その全貌がハッキリとしてきて…自分の内側から グワ〜〜ッと感情が湧き上がってくるのを感じました。

 

譜面というのは 白黒の暗号が並ぶ2次元の世界。それが こうやって 音楽として生まれ人々の心に何かを残す…。本当に貴重な尊い瞬間に居られる事が嬉しくありがたかったです。

 

メンバーにシュルツェさんからの「作曲家として人生の中で数回訪れるという至福の日を今日味わっている。」という嬉しい言葉を頂き、本番が終わった直後には、両手を広げて「一体どうやったら あの演奏ができるの?」と満面の笑みで喜んで下さるシュルツェさんを目の前にする事が出来て…本当に幸せでした。


2008年に書かれたこの作品、一度編成を変えて演奏された事があったそうですが、本来の編成での初演に対するシュルツェさんの想いは、とても深く熱い物があった様です。
確かに...ヒョイヒョイとは演奏し辛いアンサンブルでした。しかし、錚々たるメンバーのお陰で、また、新しい経験と出会いに恵まれました。
大感謝です!!!

全員で撮った写真があるのですが…何故かアップができない!!
これは、後日アップさせて頂きますね。

 

この日のプログラムの最後は メンデルスゾーンの弦楽八重奏でした。私は初めて聴いたのですが、息もつけないほどの集中と煌びやかな演奏!!いや〜ホントに素晴らしかった!

 

明日 12月9日(月)は、共演の2つの弦楽四重奏団の拠点であるブルノでチェコ初演となります。

19:00から ブルノの音楽院、ヤナーチェク・ホールです。

 

お近くにいらっしゃる皆さん、是非是非 足をお運び下さい!